新しい紙管
新しい紙管の使い方 事例紹介
設計した人 山田克幸さん
(山田克幸建築設計事務所)
姫路営業所
外壁について
紙管会社であることが一目でわかるよう、幾何学的に紙管を配置しました。ずらりと並べるだけでなく、間隔をあけて市松模様にするなど工夫できるようになっています。
内装について
(照明)天井を丸く掘りこんで変化をつけようと考え、そこに紙管を使うことを思いつき、米谷紙管で製造できる最大径のボイド紙管(1200φ)を照明に使用しました。来訪者に「いちばん大きな紙管のサイズは」と尋ねられたら、天井を指さして「これです」と答えられます。
(コーナー)丸い間取りの営業所は入って右手に大きなテーブル、左手に水回りがあって、その間をつなぐコーナーに1100φのボイド紙管を使いました。やわらかな雰囲気があるし、人を導く動線の働きも担っています。
(家具)荷物置きになるようなイスを作ってほしいと依頼され、座りやすさや寸法をスタッフと検討しました。いろいろ考えた末、シンプルに、紙管の上に座面を置けばよいのではと。それが第1世代です。ふわっと丸いのがいいなあとスケッチを描いて、丸忠家具さんにオーダーしました。座りやすいと好評です。
第2世代は2020年。底板がついて収納できるようになりました。現在のものは第2世代の進化型。底板の素材を、より紙に近い合板に変えました。
子ども向けの小さなサイズも作ってみたら、小さすぎるという意見が出て、中間のサイズも作りました。保育園や幼稚園、図書館の子ども向けコーナーなどに並んでいるところをみてみたいですね。子どもが使うなら、座面や底板を固定するなど改良します。
そういえば名前がないなあと思って、「TUTU」と名付けました。「筒」「包む」、それにバレエの衣装のチュチュも連想してもらえれば。2つを積み上げて高くするスタッキングや、大きなイスに小さなイスを収納する入れ子方式も実験中です。
つくった人 神田聡司さん
(丸忠家具)
紙管スツール「TUTU」
座面はベニヤ板に布。
紙管は円筒形ですが、切り口は完全な円ではないので、きっちりとはめ込むのが
素材がおもしろいですよね。紙は水や汚れに弱いですが、最後につるんとした紙を巻けば、シールを貼ったりはがせたり、汚れを拭き取ったりできるかも。ホコリを取る粘着テープのように、落書きがいっぱいになったら一枚はがして新しい紙が出てくるとか、そういうのが子どもには楽しいかもしれませんね。
つくった人 杉本大士さん
(太鼓屋六右衛門)
太鼓
うちは天和年間(1681~84)から続く太鼓屋で、わたしが十八代目。跡を継ぐ 前は保育士として働いていました。
いまの工房ができたのが2000年。子どもたちとなにかつくれないかな、おもしろいものをつくりたいなと考え、太鼓づくりのワークショップを始めました。
最初はガス管の廃材を使っていました。でも、塩ビ管って無機質というか地味というか。ある日、トイレットペーパーの芯をみてピン!ときて。これを作っている会社はどこにあるんだろうと検索して、米谷紙管がみつかりました。工事向けの一般的な6インチのボイド紙管がちょうどいい。これより小さいと音が出ません。それに絵が描けるのがいい!
小中学校でのワークショップはもう15年以上続いています。県内をはじめ、大阪、滋賀、香川にも行きました。年間平均1,000個、コロナ禍以前は多いときでは3,000個注文した年もあります。
かたちをきれいに保つために切り口を瞬間接着剤で固めておいて、学校に届けます。絵を描いてコーティングするまでを事前にやってもらい、本物の太鼓には使えない薄い革や余った革、ひもを持って訪問します。
音? 本物の太鼓と同じです。木と紙は同じ素材ですから。米谷紙管の商品は強度があって、それもいい音が出る理由です。固さがあるから音がよく反響するんです。やわらかいと胴がへこみやすいし、音を吸収してしまう。もともとコンクリートを流し込むのに使われるので、型離れしやすいように内側がフィルムコーティングされていて、それもちょうど良かった。
ボイド紙管のサイズにあわせて、いろいろ試作しています。木に比べて取り扱いが簡単ですし、失敗しても替えがきく。防水のためにウレタン塗装を施したり、木目とか大理石とかのシールを貼ってみたり。手軽に自由に試せるので、遊び心がかきたてられます。
世界的な和太鼓奏者で姫路在住の陽介さんも「おもしろい!」と興味をもってくださって、二人で考えて桶胴(おけどう)太鼓「遊(ゆう)」もつくりました。陽介さんが海外公演に持っていくためのハードケースも紙管でつくりました。笛も、
収納した人 山田克幸さん
(山田克幸建築設計事務所)
じばさんビル「BAIMO」
もともと棚があって、いろいろなタイプの革の見本を、くるくる丸めて入れていました。そこで、いろんな径の紙管を持ってきてもらって、効果的な組み合わせを考えました。革が取り出しやすくなったほか、ディスプレイにもなっています。